なぜ、一度嫌いになった人をなかなか好きになれないのか?

あの人が嫌いな本当の理由とは
「あの人はキライ。顔を見るのも声を聞くのも嫌だ。」と思ったことが誰しも一度はあるのではないでしょうか。
重症になると「あの人と同じ空気を吸うのもイヤ!」とか・・・・

別に、世界中のみんなを好きになる必要もないですし、苦手な人くらいいることがごくごく自然です。
例えばこんなアンケートがあります。
Q:今までの職場で人間関係の難しさを感じたことがありますか?
という質問に84%の人が「はい」とこたえています。

エンジャパン調べ ■調査期間: 2018年8月29日~9月25日 ■対象:エン転職利用者 10,776人
そして、その「難しさを感じた理由としては」
・威圧的
・気分に浮き沈みがある
・指示に一貫性がない
・信頼できない
などがあるそうです。

キライな人がいるのは自分にとってもハッピーなことではありませんね。
また、一度キライになるとなかなか好きになれない・・・人間にはこんな傾向があります。
なぜ、一度キライになるとなかなか好きになれないのか?
この理由のカギを握っているのは「認証バイアス」です。
自分の人間が思い込みから生じた仮説を検証するために、 自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性を指す。
リベラルアーツガイド https://liberal-arts-guide.com/confirmation-bias/
この認知バイアスのわかりやすい例でいうと「血液型占い」です。
血液型と性格傾向は今のところ科学的には相関がありません。
ところが、世間では例えば A型は「几帳面」O型は「おおらか」などといったようなタイプ別の通説があります。(実は血液型占いは、世界的にも日本と韓国にしかないらしいです)
なぜ、こんなことが起こってしまうかというと、例えば「〇〇さんはA型」と聞いたらその人の几帳面な行動ばかりに注目してしまうからです。

「あっ、なんかあの人すぐ細かいことを指摘するな」
とか
「机まわりが片付けられている」
などです。
そうやって「几帳面」に関する情報ばかりに着目し、「〇〇さんはやっぱり几帳面だ」と思い込んでしまうのです。
実際は、血液型とは何の関係がなかったとしても・・・
つまり、「あなたがキライなあの人」も同じです。
一旦嫌いになると・・・イヤなところ以外にも、良いところや全く関係ないところがあるかもしれないのに、嫌なところ悪いところばかり見てしまい、
「ほらね、やっぱりああいう言い方をする、イヤな人だよ」
「ほらね、やっぱりああいう感じがイヤ」となってしまいます。
実は、これあなたの見方が偏っているだけかもしれません。
そう考えると、好き嫌いは相手以上に自分のものの見方にも偏りがあるのかもしれません。
今回は、そのような自分の認証バイアスを知ることと、実際嫌いな人との関係を築く工夫についてアイディアをご紹介します。
これで少しでも人間関係の悩みが軽くなるとよいと思います。
認証バイアスを避ける方法
では、そんな認証バイアスを避けて「嫌いなところだけを見る」のを減らす方法を紹介します。
1 認証バイアスがあることを知る
そもそもですが、「人には自分の思い込みを正当化するための認証バイアスがある」ということを知っておくのはとても大事です。
「あの人キライ」と感情的になってしまっても、時間を置いたり、その人から離れて、ちょっと冷静になり
「いや・・・もしかしたら、私の見方が偏っているのかも・・・認証バイアス、認証バイアス」
とでも口に出して言ってみたら、客観的に見ることができるかもしれません。
あるいは、紙にその人への気持ちを書き殴ってみることも後から眺めて冷静になれる方法の1つです。

2 他の人の意見も聞いてみる
これはまさに客観的な意見を聞く、ということ。
「〇〇さん、ってこういうところあると思うけど、どう思う?」という質問を投げかけてみることです。

まぁ、こういう場合には、えてして陰口にもなってしまいがちですが、そこはちょっと抑えつつ聞いてみましょう。
3 ちょっと距離を置いて見てみる
これも客観的に冷静になるための方法です。
それは感情的になっているときには、そこから離れるのがなかなか難しいのが人情というもの。
だから、ちょっと時間を置いたり、他のことを考えられるとその感情を離れることができます。
私もやっていました。
ちょっとその場を離れてみたり、他のことをやってみたり・・・
あまりにも嫌になったら、ときには距離を置くためにズル休みもOK! では・・・
その時、冷静になって「自分の思い込み(確証バイアス)があったかな」と振り返ってみるのです。
確証バイアスは誰にでもあるものです。
別にそれを否定したり、自分を責める必要もありません。
ただそれが「自分にはある」そして、嫌いな人に対してバイアスをかけて見ていて「嫌い、嫌い、嫌い・・・」と言う感じで増幅されている可能性があるかもしれない。
その場合、見方を変える、バイアスを減らすことで嫌いな人のストレスが減るかもしれない、ということを知っておくと良いでしょう。
嫌いな人への対処方法
自分の確証バイアスを知った後、その相手との人間関係をどうしたらいいでしょうか。
まず、そもそも根本的に「相手に対して決定的に受け入れられないところがあり、自分の人生から排除したい」と心に決めている場合。
その人と2度と会わないように訣別するのも選択であると思います。
この場合、職場での相手であれば転職、異動希望を出すなどがあると思います。もし、家族の場合には離婚、絶縁などがあります。これはゴールが明確なので、自ずとやることは決まってきます。
ここでは、「それでもその嫌いな相手とやっていかなければならない」という選択をした場合のやり方をご紹介します。
1 接触頻度を増やす
これは、まだ相手と挨拶くらいはできる。相手に対して「ありがとう」くらいは言えるくらいの関係の場合に使える手です。
ザイアンス効果といって「接触回数が多いと相手に好意を持ちやすい」という心理効果があります。
それを利用して、嫌いな人ほどマメにコンタクトを取って、少しずつ慣れていくということができます。
嫌いな相手ですから、顔を見て、声を掛けるのは苦痛でしょう。
勇気もいるかもしれません。
しかし、もし「それでもその嫌いな相手とやっていかなければならない」と感じているのなら、ここは乗り越えなければならない壁です。
ただ、あらかじめわかっていると助けになることがあります。
それは、嫌な気持ちは最初がマックスであるということ。
何度も顔を合わせていると人間は慣れてきます。
慣れないとしても、最初に感じた「イヤだなー」という嫌悪感は多少減ります。
相手の悪いところが勝手に治っていく、ということは期待できませんので、こちらから接触するようにして「挨拶」から始めてみることをお勧めします。
お互いに心の中で「苦手だな」と感じていたとしても、意識して顔を合わせていると関係は変わります。
そして、それを始められるのは自分からだけです。
2 人と思わず、動物や自然現象だと捉える
自分の確証バイアスについて振り返り、単純接触を自分から試み、なんとかしようとしたけれど、どうしても、万人から見ても受け入れがたい性格はあります。
・自分勝手
・高圧的で怖い
・極端すぎる思い込み
・無礼千万な言い方
など、いろいろな人がいます。
「客観的に見てもこの人はおかしい・・・」そういう人はどうしてもいます。

そして、どうしても今の自分は転職や離婚、絶縁できない。
でも、相手が変わることは期待できません。
その場合には自分の見方を変えるしかありません。
それは相手を「動物」か「自然現象(台風・竜巻・洪水など)」だと思うことです。
例えば、トラやイノシシに言葉が通じなくても、腹は立ちません。
最初から「言ってもわからない」と期待しないからです。
また、台風や竜巻に対してはとにかく逃げるか、通り過ぎるのを待つしかありません。
あるいは防災対策で備えておく。
といったことです。
例えば、相手のワガママが出そうな場面では、サッとその場から去る。
相手にワガママを言う機会を与えない。
(良いかどうかは別として)誰かにワガママを背負ってもらう
とにかく、災害だと思って被害を抑えるために対策を立てておくということです。
もちろん相手を虎や猪あるいは台風だと思っても、腹が立たないわけではありません。
「嫌だ・・・」という気持ちはあるでしょう。
しかし、「この人は人の姿をしたイノシシ・・・」
「台風に怒っても仕方ない・・・」
と自分に言い聞かせたら、少なくとも自分のメンタルを保つためにはマシでしょう。
まとめ
・自分の認知バイアスを知る
・他人の意見も聞いてみる
・ちょっと距離を置いてみる
・嫌いな人への対処法
・接触頻度を増やす
・人と思わず、動物や自然現象だと捉える
「嫌いな人」はどこに行っても避けられないものです。
しかし、嫌な人をよく見てみると、自分自身もそうであるように、実は「全てが嫌だ」ということはまずありません。
自分が嫌なところが気になって仕方がないことが、「嫌だ」と感じる主な原因であったりします。
自分の捉え方を変えること、それは自分や相手を傷つけずに解決できることもありますので、ちょっと試してみる価値はあると思います。
この記事がそんな解決のヒントになれば幸いです。