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若手社員の定着のための採用面接コミュニケーションとは

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一般社団法人コミュニケーションマイスター協会理事/ 元早稲田大学非常勤講師/ CU代表  これまで大手企業や大学などで、ロジカル・コミュニケーション、対人対応、ビジネス英語、ライティング研修などを約5000人に指導してきた。
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会社の中核を担っていく若手社員育成はとても重要なことです。

しかし、育成しても入社3年以内に3割が退職するというのは近年当たり前のようになってきました。

この状態は会社側はせっかく育てたのに、時間もお金も失うということになってしまいます。

これに対して、定着のための施策というと入社後を想定しますが、実は定着できるかどうかは採用面接時から始まっています。

そこで、今回は採用面接時から若手社員の定着をはかれるコミュニケーションを紹介します。

これで、より早い時期から若手社員に会社や仕事へのエンゲージメントを高め、定着を期待できます。

もちろん、このコミュニケーションは入社後若手指導に当たる、管理職の方々にも身につけていただきたいポイントです。

若手社員が3年以内に退職する主な原因

厚生労働省(新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況)の調べによると若手社員が3年以内に離職する主な理由として以下のことが挙げられます。

1仕事が合わない

2人間関係の問題(上司、同僚など)

3労働環境の問題(長時間労働、賃金)

その他の調査などでもおおむねこの3つに集約されているようです。

このうち採用面接時のコミュニケーションで解決できそうなものが1です。

今回はこの二点について、若手社員の育成として具体的な方法をご紹介していきます。

仕事が合わない

 これは

「自分の適正と仕事が合っていない」

あるいは

「想像していたこととは違う業務内容だった」

または

「仕事にやりがいを見出せない」

といったことです。

このような仕事のミスマッチは、まだ社会人経験が少ない若手社員は特に感じやすいのではないでしょうか。

採用面接ですべきコミュニケーションとは

実は「仕事が合っていない」理由で3年以内に離職する、この原因は入社の採用の時から始まっている可能性があります。

具体的には、採用面接時におけるコミュニケーションの取り方です。

この時のコミュニケーションの取り方で、入社後の定着に影響があることがわかっています。

ポイントは面接時に面接者と応募者との間にいかに「信頼感」ができるかです。

この「信頼感」が就業レディネス(入社前の心の準備状態)と相関関係があることがわかっています。

就業レディネス(入社前の心の準備状態)とは 

就業レディネスとは

就活を通して得た、社会人としての覚悟や見通し自信である「社会人としての自覚」と同じく就活の経験を通して獲得した自分らしさや持ち味、価値観などの実感である「自己理解の促進」を合わせたもの。

充実した就職活動が入社後の適応や定着におよぼす影響 -就業レディネスの重要性- 就職みらい研究所 主任研究員 舛田博之 より

別の研究によると、この就業レディネスは入社後3−6年後の

・適応を促進する行動や効力感

・満足感

・離職傾向を下げること

に影響を与えます。 

新採用場面におけるコミュニケーションが内定先理解と就業レディネスに与える影響 渡辺かおり・飯塚彩 より

つまり、

面接時の信頼感の醸成ができると

入社前の社会人としての心の準備状態が高まり

 会社適応、離職率の低下

というつながりがありました。

ですから、若手社員の将来の定着の可否は面接時から始まっているのです。

そのため面接担当者の「信頼感醸成」のためのコミュニケーションは非常に重要です。

採用面接時のコミュニケーションのポイント

では「信頼の醸成」のために具体的にはどのようなコミュニケーションが必要でしょうか。

それは先の研究のよると「信頼の醸成」の項目として以下のような内容が上がっています。

「自分のことをよく理解しようとしてくれた」

「私が本当にやりたいことをじっくり考えさせてくれた」

「自分自身のために十分な時間を割いてくれた」

「自分のことを必要としていることが伝わった」

ネガティブな情報でも、求めれば隠すことなく開示してくれた」

この中でコミュニケーションに関連するもの →赤字記載

新採用場面におけるコミュニケーションが内定先理解と就業レディネスに与える影響 渡辺かおり・飯塚彩より

信頼を得るコミュニケーションスキルとは

 では、これらの項目を面接時のコミュニケーション中で応募者に実感させるには、どうしたらよいでしょうか。

ひとつ一つ具体的な行動として、解説していきましょう。

表にまとめるとこのようになります。

信頼の醸成具体的な項目コミュニケーションテクニック
「自分のことをよく理解しようとしてくれた」情報を整理して、まとめる力や質問力
「私が本当にやりたいことをじっくり考えさせてくれた」傾聴力、共感力
「自分のことを必要としていることが伝わった」表現力

「情報整理力」

「まとめる力」

「質問力」

「傾聴力」

「共感力」

「表現力」

というコミュニケーションの能力になります。
では1つずつそれぞれは「どんなコミュニケーションスキル」であるのか「どうやったらそれが身につくのか」を解説していきます。

情報整理力

説明:

これは話の情報をカテゴリーにわけたり、重要な情報と瑣末な情報を仕分けしていく力です。

「まとめる力」や「質問力」の根幹になるもので、とても大切な力です。

情報整理の方法:

情報を整理するための方法はシンプルです。

1「話のポイントはいくつか」を考える

2 それぞれのカテゴリーに名前をつける

3 カテゴリー内の情報で階層ごとに分ける

シンプルですが、案外私たちは好きなところから思いつきで話をすることが多いものです。
すると話が整理されずわかりづらくなってしまいます。

ぜひ、まずは「今から話そうとするポイントはいくつなのか」を意識して話をしてみましょう。
より詳しい情報整理の方法についてはこちらからご覧ください。

ビジネスで必須スキル!ロジカルコミュニケーション®とは何か? 

まとめる力

説明:
これは話の趣旨を一文で表現する力です。
「つまり、ひとことで言うと何か?」
これを言えるようになることがまとめる力になります。

まとめるための方法

1 話の全体を一文で要約してみる

*情報整理の方法1~3を踏まえてやると、要約しやすい。

「ひとことで言うと・・・でしょうか」

「つまり・・・でしょうか」

「要するに・・・でしょうか」

というフレーズを使うと自然と話をまとめることになります。

この話のまとめがあると、話し手は

「ああ、自分の言っていることを理解してもらえた」

「自分の話を受け入れてもらえた」

「自分の話が伝わった」と感じます。

つまり「信頼の醸成」とはこのようなコミュニケーションの中で培われるのです。

質問力

説明:
質問をされると相手に「理解」「興味」が伝わります。

特に質問に答えることで深い思考を促されるような優れた質問をされると、質問者の洞察や着眼点などが伝わります。

その結果
「自分は理解してもらっている」
「自分に興味をもってもらっている」
「認めてもらっている」などの「信頼の醸成」がされます。

質問の方法:

主な質問の仕方には2つあります

1 イエス・ノークエスチョン 「はい」か「いいえ」を問う質問

2 オープンクエスチョン  「いつ」「どこで」「どうやって」「なぜ」などの質問

いずれにしても、質問の目的は、内容を深めるため、あるいは内容を広げるためでなければなりません。

例えば、志望動機でも

次々と新しい商品を生み出している御社の技術力に惹かれました

そうですか。何か技術開発的なことに関わりたいと思われたのですか?

はい、そうです。

なぜ開発にご興味があるのでしょうか

はい、それは小さいころからプラモデルなど物を作ることが好きで、プラモデルだけでなく日常用品のいらなくなった箱や筆記用具などでもいろいろ工作していました。それがだんだんとデジタルでも何かを作ったりすることにつながっていきました

これらの質問は相手への理解を深めるのと同時に、
「私のことを理解してもらっている」
「気づきを与えてもらっている」
「興味を持ってもらえている」などの信頼感を高めているのです。

質問は話の内容を深める、広げるそして相手への理解や信頼を高める内容でないと意味がありません。目的を持って質問をすることが大事です。

話の内容を深める、広げる

相手への理解や信頼を高める 質問の例:

「・・・それは〇〇ということですか」

「・・・ということは〇〇なのでしょうか」

「・・・つまり〇〇でしょうか」

 

傾聴力


「信頼の醸成」となるような話の聞き方とは、積極的な傾聴です。
それは、話の途中で内容の理解を確認しながら聞くことです。このときに役立つのが前述した

・話をまとめる

・話を整理する

・質問する

といったことです。

意識をまんべんなく、話に向かわせること、そして受け身でなく、能動的に聞くことが傾聴での重要なポイントです。

傾聴の方法

・話をまとめる

・話を整理する

・質問する の他に、うなづきやあいづちも大切。

「共感力」共感力とは相手の感情を共有することです。

そして、共感を示すことで、相手を尊重しているということも伝えられます。
それによって「信頼の醸成」ができるのです。

共感はまさに感情の共有であるのでテクニックというものはありませんが、あえていえば

・相手の立場に立って感情を推測すること

・相手に興味を持つこと

・相手の表情、返事のタイミング、態度など細かいところまで意識する

ということがあります。

これは面接時だけできるかというと普段から心がけていないとできません。

相手の感情理解が低いと感じている場合には日常的に心がけることが大切です。

以上が信頼を醸成するのに必要なコミュニケーションの具体的なテクニックです。

若手社員の定着のための採用面接コミュニケーションまとめ

・若手社員が3年以内に退職する主な原因
・仕事が合わない
・採用面接ですべきコミュニケーションとは
・就業レディネス(入社前の心の準備)
・採用面接時のコミュニケーションのポイント
・信頼を得るコミュニケーションスキルとは
・情報整理力
・まとめる力
・質問力
・傾聴力

若手社員の定着は入社後の人間関係に、注目がいきがちです。
しかし、上記のようにそのための施策は採用面接時から可能です。
もちろん、入社後のよりよい人間関係を築くためにもなりますので、ご参考にしていただけましたら幸いです。

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一般社団法人コミュニケーションマイスター協会理事/ 元早稲田大学非常勤講師/ CU代表  これまで大手企業や大学などで、ロジカル・コミュニケーション、対人対応、ビジネス英語、ライティング研修などを約5000人に指導してきた。
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