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「結論を先に」であると、わかりづらい話し方とは

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一般社団法人コミュニケーションマイスター協会理事/ 元早稲田大学非常勤講師/ CU代表  これまで大手企業や大学などで、ロジカル・コミュニケーション、対人対応、ビジネス英語、ライティング研修などを約5000人に指導してきた。
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本当に「結論ファースト」がいつもいいのか?

今回はあえて「結論を先に」がいつもわかりやすいとは限らない、ということを書きたいと思います。

しかし、これは「結論を先に」ができるようになった方、つまり「話し方 中級者以上」向けです。

まずは「結論を先に」が話せるようにするのが第一段階です。
そして、その上で内容や相手に応じて「結論を先」にするのか、そうしないのかコントロールできるようになるのが中級者や上級者といえるでしょう。

まず、わかりづらい話の原因として「結局、最後までオチがなかった」つまり「結論は何なの?」ということはよく言われます。

たしかに「結論ファーストではないことが話のわかりづらさの原因」は9割くらい当たっています。

これは私たちの話し方の大きな欠点でもあるので、本当に心がけた方がいいですね。

コンテクストがあるか、ないか

では、「結論が先」がわかりづらくなるケース。

相手があまりプロセスをわかっていない、というか「寝耳に水」状態ですと結論ファーストはわかりづらくなってしまいます。

たとえば
「部長、クライアントのD社が『取引をやめたい』と言っています。どうしたらいいでしょう?」
などと突然言われても、部長はキョトンですよね。

あまりにも、状況がわからなくて「どうしたらいいでしょう?」と相談されても答えようがありません。

特に仕事上は状況が複雑なことが多いので、結論だけ取り出して最初に伝えるのは要注意です。

逆に、結論に至るまでのプロセス、状況をわかっている、あるいは自分のことをよくわかっている、そんなに説明しなくても理解できているなど・・・この場合は結論ファーストでも大丈夫でしょう。

伝える相手と自分がある程度「あうんの呼吸」で通じる場合、このような間柄をコンテクストをたくさん共有している、といいます。

「あうんの呼吸」といえば、長年連れ添った夫婦なんていうのは
「ちょっと、あれ持ってきてくれない?」
とか
「あれ、どこいった?」
なんていう感じで、結論どころか「あれ」「それ」だけで何のことかわかってしまいます。

これはそうとうコンテクストを多く共有しています。

あとは、長年一緒に働いている同僚などもそうです。


また、初めて会った人同士でもたとえば同じ職業や専門家同士は「あうんの呼吸」というよりは、話が通じやすいですよね。

それは似たような経験をしていたり、同じ専門知識があったりして、初対面であっても
「うん、うん、わかる、わかる」となるわけです。
この場合もコンテクストを多く共有している、といえます。


実は、このコンテクストという考えは、話し方やコミュニケーションにおいてとても重要です。

なぜなら、「話し方」や「コミュニケーション」というのは当然相手があるのですから、相手との関係性によって変わってきます。

ですから、この相手と自分とのコンテクストを意識できるようになるとかなり「話し方」や「コミュニケーション」が上手に、スムーズにいくはずです。

つまり、通じやすい(コンテクストが多い)相手には
・説明をはぶいたり
・核心にどんどん迫ってみたり
・複雑なことを伝えてみたり
そして
いきなり「結論」でもOK
反対に通じにく(コンテクストが少ない)相手には
・十分に説明をしたり、例えば図なども用いてみる
・ちょっと、核心より離れたところから言ったり
・できるだけシンプルに伝える
そして
いきなり「結論」はNG
という傾向があります。


「結論ファースト」でなくても、結論はわかる

私が「結論が先」であるとわかりづらいこともある、と言うのはこのコンテクストによって話し方を変えた方がいい、という考え方だからです。

あとは私たち日本人には、いきなり結論!だとちょっとぶしつけな、失礼な印象を与えてしまうこともあります。

いきなり結論!は英語のコミュニケーションの場合は問題ありませんが、日本語は必ずしもそうではありません。

「結論が先」は相手の理解と受け入れる気持ちの点で、いつもおすすめとは限らないのです。

しかし、最初にも書いたように特に私たち日本人は「結論なし、オチなしの話」の問題を抱えています。

やはり結論は最後にもってくるよりも、できるだけ話の早い段階で伝えた方が相手もイライラしないし、ミスコミュニケーションも少ないでしょう。

では、どうしたらいいのでしょうか?

「予告」のテクニックがおすすめ

実は、あるのです。
どんな内容でもわかりやすく、理解しやすく結論を伝える方法が。

それが実は話の全体を予告する、ということです。
それは、結論の全部を最初に言うのではなくて、結論のポイントだけを最初に伝えることです。

最初の例で出した
「部長、クライアントのD社が『取引をやめたい』と言っています。どうしたらいいでしょう?」 
という部長への話ですが、これだけですと意味がわかりづらいですが

「部長、クライアントのD社が『取引をやめたい』といっているのですが、そこまでの経緯を「問題のきっかけ」と「その時の対応」それから「部長にご相談したいこと」の順番で報告します」

これだったらどうでしょうか?
だいぶ、明快になりました。スッキリ頭に入ってきますよね。

それでこの予告通り「問題のきっかけ」→「その時の対応」→「部長にご相談したいこと」の順番で話していけばいいのです。

これなら部長も満足❤️

この「予告」をする話し方は最初に結論のポイントは伝えるけど、結論内容を全て話しているわけではないので結論ファーストとも言い難く、その真ん中くらいの方法です。

やり方としては「予告」をするためには、結論を含め全ての話のポイントを予め整理しておかなければなりません。

結論に至る順番に整理していきます。

これはどんな話もとてもわかりやすくなるコツなので、ぜひやってみてください。



まとめ:
1 結論を先にするかは、相手とのコンテクストによって決める

2 「結論が先」が通じやすいのはコンテクストを多い場合

3 「予告」をすれば結論が先もあとも関係なく通じやすくなる

いかがでしょうか?
私たちの話し方のテクニックは、欧米式のものを真似て、それをよし!としがちです。

しかし、コミュニケーションのスタイルや言語が全く違うものを持ってきてもかえってわかりづらくなることがあります。

ぜひ、私たち日本人に合った「わかりやすい話し方のテクニック」で「結論が先」問題を乗り越えていきたいものです。

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一般社団法人コミュニケーションマイスター協会理事/ 元早稲田大学非常勤講師/ CU代表  これまで大手企業や大学などで、ロジカル・コミュニケーション、対人対応、ビジネス英語、ライティング研修などを約5000人に指導してきた。
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