藤原和博著:10年後君に仕事はあるか?:ロジカル・コミュニケーションの役割とは?
藤原和博著「10年後君に仕事はあるか?」という本、話題になりました。
その中でも、印象的なことは教育において必要な3つの能力領域
1 情報処理能力 知識いわゆる国語・算数・理科・社会・・・など
2 情報編集能力 思考力、判断力、表現力、具体的にはコミュニケーション・ロジカルシンキングなど
3 基礎的人間力 いわゆる精神力・体力・柔軟性など
の中で特に「2 情報編集能力」はとても大事であると。
これまで「1 情報処理能力」つまり知識、技術中心の世の中であり、教育でした。
ここの能力が世の中では評価されていました。
具体例でいうと、学歴とか資格とかというものです。
しかし、それらはことごとくAIにとって代わられます。
それで、藤原さんは「10年後君の仕事はあるか?」って問いかけているわけですね。
だから、「基礎的人間力」とともに思考力、判断力、表現力のような「情報編集能力」が私たち人間の強みになってくる、
まぁ、カンタンにいって、これらの能力を磨くことで「10年後君の仕事はあるか?」という問いかけに「はい」と答えられるのではないでしょうか。
そして、まさにロジカル・コミュニケーションは思考力、判断力、表現力そのもの「情報編集能力」そのものと言ってよいでしょう。
まず、ロジカル・コミュニケーションとは、ひとことで言うと
「明快でわかりやすい話し方」のことです。
なんとなくイメージできるでしょうか?
これは逆の話し方を考えるとわかりやすいかもしれません。
「何を言っているのか、わかりづらい話し方」です。
具体的には
・ダラダラと続く
・結論がない
・話題がどんどん飛ぶ
・相手とかみ合わない
・まとまりがない
・専門用語が多い
・相手の理解を考えず一方的
といった話し方です。
このような話し方はロジカル、つまり論理的ではありません。
ですから、ロジカル・コミュニケーションとはこれとは真逆の話し方です。
・ダラダラと続く →簡潔に
・結論がない →結論を明確に
・話題がどんどん飛ぶ→話の繋がりを持たせる
・相手とかみ合わない→的確に返す
・まとまりがない →まとめる
・専門用語が多い →専門用語をあまり使わない
・相手の理解を考えず一方的 → 相手の理解に合わす
そんな、話し方です。
「わかりやすい話」とか具体的に、細かい要素にしていくと上記のようなものになります。
では、そんなロジカル・コミュニケーションの必要性とはなんでしょうか。
それはまさに藤原さんの本に出てきた「情報編集」のために必要な力と言えます。
確かに、今は情報は本当にあふれています。
しかし、大事なことはその情報を「どうやって使うか」です.
情報の組み合わせ、そして「編集能力」が必要になってきます。
そして、その前提として「情報を整理すること」があります。
これはロジカル・コミュニケーションそのものです。
ロジカルな話し方には「伝えたいことを整理する」というのが不可欠です。
そして、その整理のプロセスで必要な情報、不要な情報を仕分けします。
これが「情報編集能力」であるわけです。
実は、ロジカル・コミュニケーションは「わかりやすい話し方」というコミュニケーション力を高めると同時に
「思考力」も高めています。
何かの考えをまとめるためには必ずアウトプットが必要です。
「話す」ことでもいいですし「書く」ことでもいいです。
「話す」ことのメリットは相手に伝えて、ちゃんとまとめられているか反応が分かるところ。
それでその考え方に客観性を持つことになります。
ですから、思考力を高めるためにも自分のまとめたことを「話す」こと、そしてフィードバックをもらうこと、
そして、これがセットでロジカル・コミュニケーションの実践と言えます。
では、最後に「ロジカル・コミュニケーションの能力は、AIに取って代わられないのか」を考えてみます。
答えは「イエス」です。
なぜなら、上に挙げたようなロジカル・コミュニケーションでする「情報の整理」とは情報の仕分けをする際に
・状況
・伝える相手
などによって、仕分けの基準が異なります。
たとえば、・状況 とは「こういう目的のために、情報を整理して伝えたい」という目的によって大まかに情報を整理して伝えた方がわかりやすい、という場合にはそうします。
しかし、出来るだけ詳細に整理して、伝えたい、という場合にはそうしなければなりません。
また・伝える相手 とは主に相手の理解度です。
その理解度によって、大まかな、ポイントを絞った整理をして伝えるか、細かく整理して伝えるかが決まってきます。
こんなふうに柔軟に対応する必要があります。
また、コミュニケーションですからその解答は1つではありません。
正答がないのです。
・状況に合わせて柔軟に対応する
・解答が1つではない
これはAIが最も苦手とすることですね。
どれだけ素晴らしい性能を持っても、人にはかなわない能力です。
ですから、ロジカル・コミュニケーションは人にしかできないことである。
そして、AIにとって代わられない能力と言えます。
まとめてみると・・・
「10年後君の仕事はあるか?」と聞かれた時に、10年後生き残っていける能力として
「ロジカル・コミュニケーション」のこれからの可能性を感じました。